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2018年6月14日

第6回日隅一雄情報流通促進基金賞 授賞式を開催

第6回日隅一雄・情報流通促進賞 表彰式を開催しました。

 日隅一雄・情報流通促進賞は、2012年6月12日に49歳の若さで亡くなった当事務所所属の故・日隅一雄弁護士の理念を基に、2012年に設けられました。表現の自由、情報公開、国民主権の促進に生涯を捧げた故・日隅一雄弁護士の理念を引き継ぎ、公正な情報の流通を促進し、真の国民主権の実現に貢献している個人や団体を顕彰しています。

6月13日に、本年度の受賞者の表彰式を日比谷図書文化館にて開催しました。以下の受賞者の方々からスピーチをいただくとともに、記念講演として作家の本間龍さんに「CMやりたい放題の憲法改正国民投票」をテーマにお話いただきました。

受賞作品一覧 

大賞】(1作品 副賞30万円)

  • 優生手術犠牲者への謝罪と補償を求める活動

(優生手術に対する謝罪を求める会)

強制不妊手術による被害事実の掘り起こしとこれを裏付ける行政資料の発掘に丹念に取り組み、行政交渉などを行ってきた長年の活動によって、現在の当事者による裁判の提訴や議員連盟の結成など被害者救済に結びつく大きな流れが作られてきました。このような優生手術に対する謝罪を求める会の地道な事実確認、情報収集活動、理論的検討活動などを、公正な情報の流通促進や国民主権の実現に資する活動として表彰します。

 

奨励賞】(3作品 副賞10万円)

  • 沖縄米軍基地をめぐる報道と「ルポ 沖縄 国家の暴力」の執筆活動

(阿部岳さん・沖縄タイムス記者)

阿部岳さんは、書籍「ルポ 沖縄 国家の暴力」によって、沖縄の米軍基地反対運動に対して国家が行っている弾圧や暴力を明らかにするとともに、いわゆるネット右翼からの攻撃にも怯むことなく、果敢に取材を行っています。このように、もっとも厳しい現場に身を置きつつ、構造的な言論状況や日本の劣化を浮き彫りにしようと挑戦している活動は、公正な情報の流通促進や国民主権の実現に資するものとして表彰します。

 

  • 福島から札幌に避難している避難者コミュニティFMによる情報発信活動            

(都築啓子さん)

都築啓子さんは、原発事故が過去のものとなりつつある中、福島からの避難者としての立ち位置を明確にしながら、自由に語る番組を長期間にわたって継続しています。札幌エリアの方々に対して、避難者として暮らす人たちの生の声をはじめとした多様な意見を伝えている都築啓子さんの活動は、公正な情報の流通促進や国民主権の実現に資するものとして表彰します。

 

  • ポ「黙殺ー報じられない無頼系独立候補たちの戦い」執筆と長年の選挙取材活動

(畠山理仁さん・フリーランスライター)

畠山理仁さんは、書籍「黙殺 報じられない無頼系独立候補たちの戦い」執筆と長年にわたる地道な選挙取材活動を通じて、高額な供託金制度をはじめとする選挙制度の問題や、選挙に参加する主権者の意識、そして一部候補者しか報じないメディアの姿勢等について問題を提起しました。明治以来、日本の民主主義の基幹にくすぶり続ける問題を浮き彫りにした活動は、選挙において表れる問題点を広く情報流通させたという意味で、公正な情報の流通促進や国民主権の実現に資するものとして表彰します。

 

特別賞】(3作品)

  • 情報公開請求・裁判による官房機密費の調査活動

(政治資金オンブズマン)

政治資金オンブズマンは、情報公開請求および行政訴訟を通して、秘密のベールに包まれた官房機密費の一端を明らかにし、政治と金の実態に迫りました。「官房機密費」という最も政治的かつ機密性の高い分野の情報開示に果敢に取り組み、長期間をかけて開示を勝ち取りました。この活動によって、官房長官が管理し領収書も不要な「政策推進費」が全体の約9割を占めていたことが明らかになったことは、様々な情報公開請求活動の中でも大きな意義があるものとして表彰します。

 

  • 書籍「アベノミクスによろしく」の執筆活動                          (明石順平さん・弁護士)

明石順平さんは、書籍「アベノミクスによろしく」で、公表されている経済情報をベースに作成されたグラフや図表を駆使し、経済用語も平易な言葉を用いて解説しながら、会話形式によって、アベノミクスの問題点をわかりやすく提示しました。アベノミクスの本質をわかりやすく提示している明石順平さんの活動は、情報流通を真の意味で国民共通の財産とする活動として出色であると評価し、表彰します。

 

  • 南スーダン自衛隊「日報」問題に関わる調査・執筆活動

(布施祐仁さん・ジャーナリスト)

布施祐仁さんは、違憲の疑いが強い自衛隊の南スーダンPKO派遣に関して、丹念に事実を調査し、繰り返し情報公開請求を行うことで「日報」があることを突き止めました。森友問題、厚労省の裁量労働制についてのデータ「偽造」問題などをはじめとする安倍政権の体質を明らかにする先鞭となったともいえる活動は、公正な情報の流通を促進し、国民主権の実現に資するものであると評価し、表彰します。

 

故日隅一雄弁護士とは・・・

元産經新聞記者。インターネット新聞「News for the People in Japan」元編集長。

NHK番組改変問題、山一抵当証券事件、動燃記者発表自殺強制事件などを担当。2010年の放送法改正時には国会から参考人招致され、総務大臣の監督権限を強化する改正に反対の意見を述べた。さらに東日本大震災直後から東京電力の記者会見に出席し、放射能汚染水1万トンの海洋投棄について「責任者は武藤栄副社長」との言質を取った。著書に『審議会革命――英国の公職任命コミッショナー制度に学ぶ』(2009年現代書館)、『検証 福島原発事故・記者会見――東電・政府は何を隠したのか』(2012年岩波書店)他。

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