5 離婚・親子問題
交渉
離婚のような家事事件は、ご本人同士の話し合いでよい解決ができれば、それが一番望ましいことです。
しかし、ご夫婦が離婚することで一致しても、財産分与(注1)や慰謝料(注2)、親権の帰属や養育費の額(注3)など、決めなければならないことはたくさんあります。また、離婚が成立するまでの間は、婚姻費用(注4)の負担も問題となります。
話し合いで解決する場合でも、弁護士に相談することにより、効果的な主張や証拠を提出したり、慰謝料や財産分与、養育費などの権利を過不足なくしっかりと主張することが可能になります。
(注1)財産分与
財産分与は、夫婦が結婚後に形成した財産がある場合に、その財産の名義人となっている側が名義人となっていない側に半額を支払うというものです。ここで、マイナスの財産(すなわち借財)も、財産分与の対象となります。まだ住宅ローンの残っている共有名義の自宅の取り扱いは、いつも頭が痛い問題です。
(注2)慰謝料
相手方が不倫をしてその結果離婚に至った場合など、精神的に傷つけられた場合には、相手方に慰謝料を請求することができます。
(注3)親権・養育費
子どもがいる場合は、離婚に伴って、夫婦のどちらが親権者となるのか、という問題があります。
そして、離婚後、お子さんを養育することになった親は、もう一方の親に養育費を請求することができます。婚姻費用との違いは、離婚した元配偶者の生活費が含まれないことです。養育費は、通常、お子さんが20歳になるまで毎月一定額を支払う約束とすることが多いですが、例えば両親とも4年制の大学を出ておりお子さんについても4年制大学に行くことが両親の間で合意されているような場合には、大学卒業までとすることが妥当なこともあります。
離婚後に、事情の変更により、養育費の減額請求、あるいは増額請求が認められる場合もあります。例えば、養育親の収入が増えた、支払い義務者の収入が減った、養育親が再婚し再婚相手とお子さんが養子縁組をした、支払い義務者が再婚して新たに子どもができるなどの事情があった場合には、養育費減額請求が認められます。逆に、養育親の収入が減った、支払い義務者の収入が増えた、子どもが病気になったり進学するなど特別の費用がかかるようになったような場合には、養育費の増額が認められる場合があります。
(注4)婚姻費用
まだ離婚が成立する前に、夫婦が別居して生活している場合には、夫婦や親子は、相互に扶養義務があり、原則として家族にも自分と同等の生活をさせなければならないという考え方に基づき、収入が少ない方あるいはお子さんを養育している方から、相手方に対して、婚姻費用を請求できます。婚姻費用は、通常、夫婦それぞれの収入、お子さんの年齢や人数や子どもの扶養状況から、簡単に算定できる婚姻費用算定表を用いています。
離婚調停
離婚(条件)の話し合いがまとまらなかった場合でも、いきなり裁判をすることはできず、裁判の前にまず調停において話し合いを試みなければならないという制度になっています(これを「調停前置主義」と言います)。
離婚調停では、相手方と面と向かって話しをせず、男女ひとりずつの調停委員が間に入り、ご本人同士の話し合いを仲立ちします。不毛な諍いを避けて話し合いを進め、両者の歩み寄りで合意できないかを探り、その結果、合意が成立すれば、離婚となります。
離婚裁判
離婚調停を申し立てても、相手方が出頭しなかったり、相手方が出席しても離婚(条件)を拒否するなどお互いの条件が合わず不調になった場合には、離婚訴訟を起こすことになります。離婚訴訟では、「婚姻を継続しがたい重大な事情」=離婚原因があるかどうかを、総合的に裁判官が判断します。
特に、女性のご相談者の方へ
離婚事件においては、専業主婦は、特に過酷な状況に置かれます。出産・育児・介護の負担は、事実上、女性の方に重くのしかかっているからです。
当事務所では、ご相談者の権利が歪められることのないよう、ゆっくりお話しを伺いながら、1つずつ紐解いて、法律を最大限生かして解決に結びつけて行きたいと考えています。ご希望であれば女性弁護士が法律相談を担当いたしますので、遠慮なくお申出ください。