職場のトラブル・労働事件(解雇・残業代など)
解雇された、雇い止めにあった、不当な配転や出向を命じられた、一方的に勤務条件を切り下げられた、セクハラやパワハラを受けた――このような、働く人の雇用や権利が侵害されて起きる労働問題に、当事務所は長年取り組んできました。
当事務所は、労働者側の権利を守ることを事務所の理念としており、労働事件の裁判を、使用者側から受任することはありません。
事務所に所属する弁護士は、全員、日本労働弁護団の会員であり、代表弁護士の宮里邦雄は長らく日本労働弁護団の会長を務めました。
ここでは、不当解雇事件を例として、どのように解決を図るか、その方法のあらましをご紹介します。
不当解雇とは
人生の大きな部分を占める「職業」を失うという意味でも、生計の道を絶たれるという意味でも、解雇は労働者にとって大変な出来事です。
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利の濫用として無効となります(労働契約法16条)。
また、正社員でなく契約社員でも、何回も更新を重ねて働いてきて、雇用継続についての合理的期待があれば、雇い止め(更新拒絶)は、客観的合理的理由を欠き、社会通念上相当でなければ、無効となります(労働契約法19条)。
解雇や雇い止めの理由が客観的に合理的な理由と言えるのか、社会通念上相当と認められるものなのかは、個別具体的な事情によります。まずは解雇に至った事情などを私たちに直接ご相談ください。これまで私たちが相談を受けた解雇の多くは、解雇が無効と判断できるケースでした。
交渉
解雇は無効だとしても、会社との話し合いでよい解決ができれば、それが一番望ましいことです。
労働組合があれば、労働組合として不当な解雇の撤回などを求めて会社と交渉して解決できる場合もあります。
当事務所は、労働組合の顧問事務所として、交渉のアドバイスを行っています。
労働審判
話し合いでの解決ができない場合でも、労働審判という簡易な裁判手続きで解決できる場合もあります。
労働審判では、原則3回の期日で、当事者双方が主張・立証活動を早期に集中して行い、原則として当事者双方の同意に基づく調停によって可決を図り、同意が得られない場合に審判が下されます。
労働審判は、弁護士を立てずに申し立てることも一応可能ではありますが、最初の申立書をいかに説得力のあるものにするか、いかに効果的な証拠を添付するかが非常に重要です。
簡易な手続であるだけに、第一回期日に労働審判委員会がどのような印象を持つかで勝敗が決まると言っても過言ではないからです。そのため、通常の訴訟よりも弁護士に依頼する必要性は高いと考えています。
仮処分
お金をもらって辞めるという解決では納得がいかない、解雇が無効なのだから、とりあえず生活ができるように毎月の賃金を支払ってもらいたい、という場合には、賃金仮払の仮処分を裁判所に申し立てます。
これは、次に紹介する本案訴訟(本裁判)で解雇が無効か有効かの結論を出すには時間がかかるので、それまでの間、解雇が無効だということを仮に認めて、会社に毎月の賃金を支払わせる命令を求める手続です。
仮処分では、急いで手続を進めますので、裁判所の期日が間を置かずに入り、証人尋問も行いません。事案にもよりますが、3~4ヶ月くらいで、仮処分の決定は出されます。
仮処分に勝っておけば、賃金が支払われますので、生活費の心配をしないで本案訴訟を進めることができます。
仮処分の手続を進める中で、和解による解決に至ることもよくあります。 解雇無効を訴える争い方のうち、もっとも正統な手続は、労働契約上の地位にあることの確認と、解雇後の賃金の支払いを求める本案訴訟を起こすことです。
本案訴訟では、一審判決が出るまでに、通常、1年くらいの時間がかかります。
そのため、解雇無効を争う場合、まず賃金仮払の仮処分を申し立て決定を得た上で、本案訴訟を起こすという方法をとる場合もあります。
本案訴訟では、最初に原告の言い分をまとめた訴状と証拠を提出し、それに対して被告が反論の書面と証拠を提出します。その後もしばらくは、互いに書面・証拠を提出しあっての議論が続きます。
そして、争点=原告と被告の言い分が食い違っているポイントがどこかが明らかになってくると、証人尋問に移ります。証人尋問では、原告と被告双方が、事実関係について知っている人(本人を含む)を尋問し話してもらうという方法で、自己の言い分が正しいことを立証します。
尋問が終わると、双方が言い分をまとめた最終準備書面を提出し、判決に至ります。 本案訴訟でも、様々な段階で、裁判所から和解の勧告があり、判決によらずに事件が可決することは少なくありません。
不当解雇されたあなたへ
解雇されたあなたは、裁判までして会社と争うことを迷い、戸惑っていらっしゃるかもしれません。
不当な解雇でも、様々な事情から、異議申立をせずに泣き寝入りするしかない、と判断されることもあろうかと思います。
しかし、あなたが、不当な解雇は納得できない、これからの職業人生のためにも不当な解雇を撤回してもらいたいという思いがあるならば、私たちは、弁護士としてあなたの思いを実現するために最大限の努力をします。
不当な解雇を野放しにしないことは、使用者は何をしても許されるわけではないというメッセージになり、あなた自身だけでなく、すべての働く人、そして社会全体にとっても良い影響があると思います。
そして、不当な解雇に対してきちんと立ち向かったという経験は、あなたをエンパワーし、これからの人生の糧となることでしょう。