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2023年2月7日

訃報:宮里邦雄 弁護士

 

当事務所の代表であり日本労働弁護団の会長を長く務めた宮里邦雄(みやざと・くにお)弁護士が、去る2月5日、逝去しました。一昨年8月から病を得て闘病中でした。享年83歳でした。

葬儀・告別式は家族・親族のみで行うというご連絡をご遺族からいただいておりますので、ご遺族へのご連絡などはお控えください。後日、当事務所と日本労働弁護団が主催して偲ぶ会を開催する予定です。日時場所等が決定しましたら、当事務所のホームページ(http://www.tokyokyodo-law.com/)等にてご案内いたします。

東京共同法律事務所

代表  弁護士 山口 広

東京都新宿区新宿1-15-9 さわだビル5階

電話 03-3341-3133

本件に関するご連絡・お問い合わせは当事務所あてにお願いいたします。

 

*************** 宮里邦雄(みやざと くにお) Kunio MIYAZATO

 

紹介

宮里邦雄弁護士は、1939年7月1日に大阪に生まれ、沖縄・宮古島で育ちました。米軍占領下の琉球政府立宮古高校を卒業し、琉球政府の国費留学生として東京大学に進学して司法試験に合格し、1965年に弁護士に登録して以来、労働事件ひとすじに、労働者のための弁護活動に取り組んできました。

一昨年の8月に病を得て、昨年1月から闘病生活に入られましたが、その直前まで、解雇、雇い止め、労働条件の不利益変更、パワハラ、労災、不当労働行為など多くの労働事件を、熱心に担当していました。また、多くの労働組合の法律顧問として、集団的労使関係上の諸問題や組合員の生活問題について相談を受けてきました。

総評弁護団・日本労働弁護団の活動にも積極的に取り組み、2012年まで10年にわたり、日本労働弁護団会長を務めました。

担当した労働事件は数え切れず、労働者の権利闘争の歴史を刻んだ重要事件も多数に及びます。その一端は、近著「労働弁護士「宮里邦雄」55年の軌跡 」(2021年 論創社)にまとめられています。官公労働者の労働基本権や政治活動の自由が争われた事件や採用内定取消が争われた三菱樹脂事件、1970年代には沖電気整理解雇事件、1980年代には東芝府中人権裁判なども担当しました。1987年の国鉄の分割民営化をめぐる問題に国労弁護団の中心となって取り組み、全国で取り組まれた労働委員会での闘いとこれに続く裁判闘争を長期にわたって持続し、解決に至ったことは特筆に値する功績であったと思います。

また、ビルメンテナンス労働者の夜間拘束時間の労働時間性が争われた大星ビル管理事件、オペラ合唱団員の労働者性が争われた新国立劇場運営財団事件、定年後再雇用者の労働条件が争われた長澤運輸事件など、新しい労働運動の課題に常に挑戦を続けました。

他方で、沖縄出身者として、沖縄の米軍基地に関する問題にも関心を寄せ、とりわけ、国が沖縄県を訴えた代理署名拒否事件において、沖縄県を代理しました。

また、2005年から2007年までの3年間、東京大学法科大学院客員教授としてロースクール生の労働法と法曹倫理の教育に取り組み、近時は労働者の権利についての基礎的な法知識や権利意識の弱さを痛感し、労働者としての「権利教育」に力を注ぎ、全国の講演会・セミナーに力を入れていました。

 

主な経歴

1939年  大阪市生れ、沖縄宮古島育ち

1958年  琉球政府立宮古高校卒業(現沖縄県立宮古高校)

1963年  東京大学法学部卒業

1965年 弁護士登録。東京弁護士会所属。

1987年~1989年  中央大学法学部非常勤講師

1997年~2005年  日本労働法学会理事

2001年~2003年  早稲田大学法学部大学院非常勤講師

2005年~2007年  東京大学法科大学院客員教授(労働法、法曹倫理)

2002年~2012年  日本労働弁護団会長

 

主な著書

・「労働委員会-審査・命令をめぐる諸問題」(労働教育センター)

・「労働法実務解説12  不当労働行為と救済-労使関係のルール」(旬報社)

・「労働組合のための労働法」(労働教育センター)

・「ロースクール演習労働法」(共著)

・「労働法実務解説6  女性労働・パート労働・派遣労働」(共著、旬報社)

・「改訂版  労使の視点で読む最高裁重要労働判例」(共著、経営書院)

・「就活前に読む  会社の現実とワークルール」(共著、旬報社)

・「実務に効く労働判例精選(第2版)」(編著、有斐閣)

・「はたらく人のための労働法(上)、(下)」(労働大学出版センター)

・「憲法の危機をこえて」(共著、明石書店)

・「改訂版 労使の視点で読む最高裁重要労働判例」(共著2013年 経営書院)

・「挑戦を受ける労働基本権保障―― 一審判決(大阪・京都)にみる産業別労働運動 の無知・無理解 (検証・関西生コン事件 1)」(共著2021年 旬報社)

・「労働弁護士「宮里邦雄」55 年の軌跡 」(2021年 論創社)

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